汚染防止
化学物質を管理する
日立建機グループでは、製品と生産活動の両方から有害な化学物質の使用禁止、削減を推進しています。削減が困難な化学物質については大気や水域、土壌などへの排出抑制と汚染防止に努めています。また、これらの有害廃棄物の排出抑制に向け、電着塗装、ハイソリッド塗料などVOCの少ない塗料への転換(プロセス改善)やロボット化による塗装効率改善を推進することでVOC大気排出割合を減らしています。
製品中の化学物質については排ガス規制、欧州REACH規則等に対応しており、厳しい排出基準をクリアした製品を世界中に提供しています。油圧ショベル、ホイールローダなどの製品では、日本のオフロード法2014年基準の他、欧州(Stage V)、北米(Final Tier 4)クリアした機種を提供しており、SOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)、PM(粒子状物質)の排出量を大幅に抑制しています。これらの機種には新たに開発した新世代エンジンを搭載し、クリーンで低燃費、耐久性、信頼性に優れた建設機械を提供しています。
欧州・米州規制対応
製品中の化学物質については、国内外の全ての製造拠点で共通使用できる「日立建機化学物質管理情報システム」を2010年度に開発、製品単位・部品単位でSVHC*1含有の有無、含有量、含有率を算出し、欧州REACH規則に対応できる体制を構築しました。
化学物質の調査は、JAPIA統一データシート*2を導入し、調達パートナーの負荷軽減を図っています。またデータの精度、調査効率を向上させるため、調達パートナーの皆さまに向けた定期説明会を開催しています。
近年、PFAS(有機フッ素化合物)の環境汚染や人体への影響が懸念され、各国で使用規制が進められています。
PFAS規制含有報告と含有品使用禁止について、2024年11月の米国環境保護庁への登録義務を果たすため、2023年度は当社製品へのPFAS含有調査を開始しました。
化石燃料の代替としてカーボン・ニュートラルなバイオ燃料が注目されており、EU品質規格である「EN15940」に代表される各種代替燃料について、世界各地の販売会社に適切な使用を呼びかけしています。排出ガスのクリーン化(PM(粒子状物質)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)を低減)に寄与できるパラフィン系炭化水素燃料の使用にも対応しています。
*1: SVHC(Substances of Very High Concern)高懸念物質
*2: 製品中に含有される化学物質を調査する帳票で、JAMA(日本自動車工業会)と JAPIA(日本自動車部品工業会)の合意のもとに標準化されたもの
関連情報
PRTR法対応
私たちは、環境中へ排出される化学物質管理促進法 (PRTR)対象化学物質の排出量※1及び移動量※2を適切に管理・把握、報告しています。化学物質管理システムにより購入量を集計し、購入製品のSDS(Safety Data Sheet)等をもとに化学物質排出量を算定・排出状況を把握しています。削減活動としてグリーン調達や代替材料への切替等を推進しています。
2023年度は、低VOC塗料への移行等で、大気排出割合は34%と減少しました。PRTR法の対象物質の取扱量は987tでした。
※1 排出量…大気、公共用水域、当該事業所における土壌への排出量と当該事業所における埋立処分量を合わせたもの
※2 移動量…下水道と当該事業所の外への移動量
関連情報
生産拠点の化学物質管理
日立建機グループは、新規に使用する化学物質の事前安全審査、化学物質と排水などの管理を通じて地球環境の保全に努めています。 排出量の大部分は、塗料・溶剤などに含まれる揮発性の有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)であり、当社では有害物質の排出抑制に向け、VOC排出削減目標を定めVOC成分の少ない塗料などの導入を順次進めています。
2023年度も、ハイソリッド塗料などVOCの少ない塗料への転換、ロボット化による塗装効率の改善、VOC回収設備の導入等を継続して推進しています。工場再編を行っており、高効率な塗装設備の導入により、塗料使用量を低減することでVOC削減を推進していきます。
SOx、NOx及びその他の重大な大気排出 | ||
種類 | 大気排出量 | 基準、方法、前提条件、その他 |
SOx | 1,981 Nm³ | 大気汚染防止法 |
NOx | 9,549 Nm³ | 大気汚染防止法 |
POPs | 0 | POPs条約 |
VOC | 1,126t | 揮発性有機化合物 |
アスベストを含む日立建機禁止物質群
納入資材に含まれる化学物質への対応
日立建機グループでは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質)、REACH規則、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs)、労働安全衛生法施行令、モントリオール議定書などに基づき、有害物質の排除に段階的に取り組んでいます。 日立建機 サステナビリティ推進本部で指定物質を 図面番号9964633として定め、開発部門にて図面に明記、更に調達部門で取引基本契約書に謳うことによって、製品への含有を徹底的に禁止しています。 2019年5月に新たに禁止対象となった「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質」が追加されました。
化学物質(群)名 | 関連する主な法令 | |
1 | 三置換有機スズ化合物 ・トリブチルスズ化合物(TBT) ・トリフェニルスズ化合物(TPT) ・ビス(トリブチルスズ)=オキシド(TBTO) | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質) |
REACH規則 | ||
2 | ポリ塩化ビフェニル(PCB類) | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質) |
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs) | ||
3 | ポリ塩化ターフェニル(PCT類) | REACH規則 |
4 | ポリ塩化ナフタレン(塩素数が2以上) | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質) |
5 | 短鎖型塩素化パラフィン | 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs) |
REACH規則 | ||
6 | アスベスト類 | 労働安全衛生法施行令 |
REACH規則 | ||
7 | オゾン層破壊物質(ClassⅠ) | モントリオール議定書 |
8 | PFOS/PFOS類縁化合物 | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質) |
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs) | ||
9 | 2-(2H-1,2,3- ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質) |
10 | ヘキサクロロベンゼン | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質) |
11 | フマル酸ジメチル(DMF) | REACH規則 |
12 | ヘキサブロモシクロドデカン (HBCD又はHBCDD) | 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs) |
REACH規則 | ||
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質) | ||
13 | デカブロモジフェニルエーテル(DBDE) | 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs)の禁止対象審議物質となったため(RoHSでは禁止物質) |
14 | ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質 | 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs) |
※ 各物質及び物質群の詳細は下記リンクを参照
PCB廃棄物の管理
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は生体への影響や環境汚染などの社会問題を引き起こすと言われています。 PCBが使用されたトランスやコンデンサーや蛍光灯安定器などについては、廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)やPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)に基づき適切に保管・管理および届出を行い、計画的な処理を進めています。
大気や水域、土壌汚染などの未然防止
SOxやNOxなどの物質による大気汚染はぜんそくや酸性雨の原因となります。またCODは湖沼・海域の有機汚濁(汚濁の度合い)を表す指標で、BODは河川の有機汚濁(汚濁の度合い)を表す指標です。 日立建機グループでは、各国・自治体の法的基準よりも厳しい自主基準を設け、法的基準を超過する前に対策を講じれるよう、大気・水質汚染の未然防止に努めています。 土壌汚染では、新規に取得する土地について事前に土壌調査を実施し、土壌汚染リスクと事業への影響を鑑み購入することを基準としています。適正な化学物質の使用、化学物質を使用する施設、保管施設について、化学物質の漏えい対策または定期的に点検を実施し、土壌への浸透を防止する管理を行っています。