リスクマネジメント
リスクに対する考え方
企業活動を営んでいると、自然災害や事故災害、法令違反、感染症などのリスクに直面する可能性があります。日立建機グループではこの認識から、平時からリスクの洗い出しを行い、未然防止やリスク発生時の影響の最小化に努めるなど、対策を行っています。
リスクの定義と分類について
日立建機グループでは、リスクを以下の7種類の項目に分類し、日立建機グループの事業、従業員およびその家族、ならびに日立建機グループの関係者が被るあらゆる損失(人的・物的・経済的被害、信用失墜、法令違反、倫理違反)の発生未然防止、発生時の被害拡大防止に努めています。
- 災害事故(地震・台風等の天変地異、火災・爆発、紛争、テロなど)
- 地域社会(環境問題、近隣からのクレームなど)
- 企業活動(法令・規制抵触、製品事故、反社会的行為・取引など)
- 法務(インサイダー情報規制違反、独禁法違反、外為法違反、不正輸出など)
- 財務・経理(不良債権、貸し倒れ、金銭事故など)
- 情報(機密の漏洩、コンピュータ障害など)
- 社員(労働災害、職業病、差別問題、不祥事など)
リスクへの対策
日立建機グループでは、「コンプライアンス・リスク管理規則」を制定し、リスクへの対策を行っています。
この「コンプライアンス・リスク管理規則」は、倫理・法令違反および各種リスクの発生の未然防止および早期発見、並びに事案発生時の迅速・適切な対応、人的な安全確保、経済的な損失の最小化、事業運営の維持、企業イメージの失墜防止および再発防止を図ることを目的としており、日立建機グループ全体の事案の一元管理を実施しています。事案発生時には、その内容を共有し、日立建機およびグループ会社に再発防止策の策定・運用責任者を選任し、グループ全体で再発防止を図っています。具体的な方針は以下の通りです。
- 私たちは、リスクが発生した場合、初期対応を迅速に行います。また、リスクレベルの見極めを迅速に行うとともに、リスクの内容により周知徹底すべき範囲の判断も行います。
- 私たちは、従業員および関係者に対して、リスクをリスクとして認識する感性の醸成、コンプライアンスに対する意識浸透、リスクや不祥事の未然防止、リスク発生時の対応などについて日頃より啓発活動を行います。
- 私たちはリスクが発生した場合、あるいはその恐れがある場合、どんな小さなリスクであっても、上長・総務担当部課長へ迅速に連絡・報告する習慣付けを行います。
- 私たちは、常日頃よりリスクポテンシャルをチェックし、個々に予防策を講じます。
- 私たちは、常日頃から地域社会(警察署、労働基準監督署、消防署、職業安定所、地域住民など)との良好な関係の維持に努めます。
グローバル・リスクマネジメントの強化
日立建機グループでは、グローバル企業として成長していくために、グループ全体でリスクマネジメント体制を強化していくことを推進しています。2022年4月より全社的リスクマネジメントを担うERM(Enterprise Risk Management)委員会を発足し、事業運営を踏まえ全社的な対応方針、経営判断が必要なリスクについて、CSO(最高戦略責任者)をはじめとする経営メンバーが主導のもと全体管理、対策を迅速に対応する体制をとっています。
全社的リスクは、全社委員会を運営する各委員会の事務局を対象に、期1回の頻度でリスクを洗い出すことで、特定しています。抽出したリスクは、全社的観点から重要度・緊急度などを評価し、重要テーマと位置付けた課題をERM委員会で共有します。
ERM委員会では、気候変動・環境汚染・災害といった環境関連の問題や、パンデミック(感染症の拡大)、サイバーセキュリティ、人権、地政学的リスク、経済安全保障、コミュニティ課題といった、グローバルに展開している事業の根幹を揺るがすようなリスクを対象として議論および意思決定を行います。基本的に期1回の開催とし、突発的な全社的リスク対応への要請や、委員長あるいは各委員会・関連部門の要請に応じて、臨時開催も実施します。なお、倫理・法令違反については、コンプライアンス管理委員会で議論し、事案発生防止に向けた啓発、再発防止策の実施を行っています。
ERM委員会における全社的リスク対応策の方針などの重要事項と、コンプライアンス管理委員会における重大なコンプライアンス案件については、執行役会ならびに取締役会への報告を行います。
世界中のあらゆる場所で自然災害などのリスクに遭遇した場合には、事業活動への影響を最小限に留めた上で可能な限り早期に復旧できるよう、「事業継続計画(BCP)構築」と「事業継続マネジメント(BCM)の強化」に向けた取り組みを推進し、サプライチェーンの維持に努めています。
2015 年度より、あらゆるリスクを未然に防止するとともに、発生時の影響度を最小限にするための取り組み(リスクの極小化)を行っています。洗い出ししたリスクごとの影響度と発生頻度を想定し、優先度を決めてリスクに対する対策を実施しています。
2017 年度には、大規模地震などの災害発生時に、時間を問わずに従業員およびその家族の安否を確認できる「安否確認システム」を国内グループ会社に導入し、以後、定期的に災害が発生したことを想定した、安否応答訓練を実施しています。
また、近年増加している気候変動による自然災害に伴い、国内においては2019年度より、「危機情報管理システム」を導入しました。災害、事件・事故、インフラ障害等の情報を一元管理することで、従業員の安全確保ならびに事業への影響低減に努めています。重要な一次調達パートナーに対しては、二次サプラヤーの情報を整備し、災害発生時には地域を特定の上、即座に調達パートナーの安全、生産状況を確認できるよう、事業継続性の確保を推進しています。海外についても外務省、専門業者からの情報を収集するなど、日々の安全管理に努めています。
なお、2019年度からの新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に対しては、対策本部を設置して国内および海外拠点における感染予防・感染拡大防止対策を徹底し、従業員と従業員の家族、そしてお客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまの安全の確保ならびに事業への影響の最小化に努めてまいりました。
今後もグループ全体で危機管理意識を高めていくとともに、管理体制の強化に取り組んでいきます。
環境に関するリスクマネジメント
リスクコミュニケーション
環境リスクなどの化学物質に関する情報を、市民と共有し、意見交換などを通じて意思疎通と相互理解を図っています。
リスクマネジメント
PCBが使用されたトランスやコンデンサーや蛍光灯安定器などについては、廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)やPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)に基づき適切に保管・管理および届出を行い、計画的な処理を進めています。