ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインについての基本方針
日立建機グループでは、建設機械を操作するオペレータの安全性確保の視点から、誰もが扱いやすいユニバーサルデザインに取り組んでいます。
建設機械の利用シーンを想定し、安全性を最優先として誤操作防止、操作性の向上、快適性の確保などさまざまな側面からユニバーサルデザイン視点の配慮を取り入れています。
ユニバーサルデザイン製品の開発にあたっては、ISO(2867、6678等)を参考に開発試験基準を策定。必要な要求項目をチェックシートで確認できるようにしています。
ユニバーサルデザイン製品の開発
ユニバーサルデザインは、ISO(2867、6678)等の国際基準を満たすことを前提に、当社の製品すべてに反映されています。建設機械は使用者が不特定多数ではなく特定のプロであることから、ユーザの使用感を重視していることが特徴です。そのため、製品ごとにユーザニーズ調査を実施して具体的な要望を把握し、ユニバーサルデザインに反映させています。新たに開発したユニバーサルデザイン製品は、自社基準の評価とともにユーザによる評価を経てから上市されています。
Analysis Lead Designによるモノづくり革新
日立建機は、グローバル市場の多様な性能・品質要求に応える建設機械を迅速に提供していくために、製品開発の初期段階からシミュレーション技術を積極的に活用するALD(Analysis Lead Design:解析主導型設計)を導入。社内に専門組織の実験解析評価センタを設置し、ALDの推進による製品の開発リードタイム短縮や品質・信頼性の向上に取り組んでいます。
開発の上流からシミュレーション解析を活用し、コスト削減やリードタイム短縮を実現
近年、建設機械の市場拡大に伴って、その使用用途や稼働環境はいっそう多様化しています。例えば、同じ油圧ショベルでも石炭鉱山とダイヤモンド鉱山では、掘削対象となる岩盤の硬度に大きな違いがあります。また、日中気温が50℃近くまでになるアフリカや中東などで稼働する建設機械もあれば、ロシアや北欧などマイナス数十℃という酷寒環境で使用される機械もあります。一方、都市や住宅地の建設現場のように、地域社会への配慮から建設機械の作動音の低減や排出ガスの清浄度などが重視される市場もあります。 日立建機では、このように多様化・高度化が進む市場ニーズを満たした競争力ある製品を、より迅速・確実に提供していくために、ALD(Analysis Lead Design:解析主導型設計)の導入による製品開発プロセスの革新に力を注いでいます。 ALDとは、製品開発プロセスの上流工程から、シミュレーション解析によって製品の性能や耐久性などの事前評価を実施し、その結果を反映させながら詳細設計を進めていく開発手法です。コンピュータによるシミュレーション解析は、すでにさまざまな製造業で広く活用されていますが、これまでは主に詳細設計後の確認・検証のために用いられていたため、開発効率化への効果は限定的でした。これに対しALDは、上流工程から事前評価を実施することによって、開発の手戻り削減によるコスト低減や開発リードタイムの短縮が期待できます。また、新たな技術やアイデアを盛り込んだ設計を短期間で効率的に検証できるため、よりイノベーティブな製品開発が可能になるメリットもあります。
実験とシミュレーション解析を比較検証し、事前評価の精度向上を図る
日立建機では、1997年の3D/CADの導入を契機にALDの有効性に着目し、シミュレーション解析による設計の事前評価に力を注いできました。2008年10月には、社内各部門で解析・評価・実験などを担当するコアメンバーを集めた「実験解析評価センタ」を発足させました。同センタでは、建設機械の事前評価に必要なモデリング技術や評価解析ツールを開発するなど、ALDをより有効に活用していくための環境整備に取り組んでいます。一方、試作品完成後には、世界各市場に足を運んでフィールドテストを推進。シミュレーション結果と実機実験の分析結果との比較検証を繰り返し、解析モデルに修正を加えていくことによって、シミュレーション解析による事前評価の精度向上を図っています。 ALDの導入以来、製品開発のリードタイム短縮・コスト削減効果は着実に表れています。また事前評価の精度向上や解析項目の拡大などに伴い、現在では製品の性能・信頼性を追求する上でも、ALDは欠かすことのできない手段となりつつあります。 さらに、ハードウェア開発だけにとどまらず、最近では電子制御システムなどの組込みソフトウェア開発においても、開発プロセスにおいてシミュレーション技術を活用する「モデルベース開発」を導入し、設計品質の向上と開発期間の短縮、開発コスト削減を図っています。例えば、最新のAC駆動大型ダンプトラックに搭載され、市場で高い評価を得ている「車体安定化制御システム」の組込みソフトウェア開発においても、この「モデルベース開発」の手法が活かされています。 日立建機では、これからも最先端のICTを有効活用しながら、開発プロセスの高度化と建設機械のイノベーションを追求していきます。