ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進の方針、推進体制
日立建機グループは、2010年に策定した「2020 VISION」において、10年後のありたい姿として「地球上のどこでもKenkijinスピリットで身近で頼りになるパートナー」を掲げました。このビジョンを実現し、真のグローバル企業として世界で認められ、勝ち残るためには、今までの延長線上ではなく、新しい戦略、斬新な発想での事業展開が必要と考えています。
そのためには、人種、国籍、性別、年齢などに関わらず、事業を支える人財一人ひとりの価値観や個性を認め、多様性を尊重※していくことが大切です。こうした認識のもと、ダイバーシティを経営の重要課題の一つと位置付け、2011年4月にダイバーシティ推進グループを設置しました。ダイバーシティ推進グループでは、日立建機グループにおけるダイバーシティ推進の課題として、「ダイバーシティの基盤づくり」「働きかた改革(ワーク・ライフ・マネジメントの推進)」「女性・マイノリティ活躍支援」「ナショナルスタッフの活躍支援」「日本側のグローバル化」の5つを挙げ、それぞれの解決に向けた取り組みを実施してきました。2016年度からは、同取り組みを人事部が継承し、実施しています。
また、多様性を尊重することの重要性については、各種階層別研修などの場を通じて、従業員への教育を行っています。活動の計画や進捗は 「人財委員会」で確認を行うなど、イバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)の推進・定着に取り組んでいます。なお当社(日立建機単体)では、主に中国、インドネシア、ブラジル、フィリピンをはじめとする外国籍の従業員が約50名在籍しています。
※ 採用・処遇を含むあらゆる企業活動において、当事者一人ひとりの人権を尊重し、性別、性的指向、年齢、国籍、人種、民族、思想、信条、宗教、社会的身分、門地、疾病、障がいなどによる差別や個人の尊厳を傷つける行為を行いません。(「日立建機グループ行動規範」より)
《 女性活躍支援 》 女性の活躍に向けた行動計画を策定
日立建機では、グループグローバルのDE&Iの方針の下、国内の女性活躍推進の施策を、①女性活躍の基盤構築、②継続就労・復職支援、③キャリア形成支援の3つに区分し、当社女性社員の不安や課題等を解決する為の各種取り組みを実施しています。
日立建機(単独)では、従業員に占める女性労働者の割合が少ないことに対しては、採用において積極的に女性へ働き掛けを行うため、対象を女性に絞った就職セミナーの開催やパンフレットの配布など、女性従業員を増やすための活動も行っています。また、性別に関わらず、仕事と育児を本人の希望に応じて柔軟に両立出来る環境を作ることを目的として、復職支援セミナーへの派遣や「子育てみらいコンシェルジュ(保育所のマッチングサービス)」の導入等を行っています。加えて直近では、職場環境の整備も積極的に推進するなど、製造現場における女性の活躍支援を行っています。女性をはじめとする多様な人財が、それぞれ高いモチベーションを維持し、家庭と仕事を両立しながら就業を継続するための環境整備も推進し、女性社員の定着と活躍を支援していきます。
《 ワーク・ライフ・マネジメント 》
働き方改革への取り組み
日立建機グループでは、各地域に適用される労働時間などを定めた関係法令などを遵守するとともに、ワーク・ライフ・バランスに配慮し、過重労働の抑制に努めています。
日立建機(単独)では、年度ごとに、残業時間数や年次有給休暇取得日数等の目標値を設定し、達成に向け、月次での実績配信や社内ポスターの掲示等の啓発活動を行っています。(2023年度目標:月平均残業時間20時間以内、年次有給休暇の平均行使日数17日以上等)
働き方改革においては長時間労働の是正が注目されていますが、実際には労働者が健康を確保しつつ、効率的に働く環境をいかに整備するかという視点での取り組みも必要だと考えています。
日立建機グループでは、これまで以上にさまざまな価値観を持つ人財を生かし、一人ひとりが限られた時間の中で最大の効果を上げながら、いきいきと働くことができる職場環境づくりに取り組んでいます。また、「リアルなコミュニケーションを重視しながら、従来の働き方や新しい手法等を上手く融合させ、さらなる業務効率向上と新たな価値創造を図る」という働き方に関する当社の基本的な考えを社内で共有し、従来の働き方(全社・部門目標の共有、目標設定・進捗管理の徹底)と新しい手法(リモート会議やRPA等のデジタルツールを活用した業務改革)を融合させ、さらなる業務効率の向上と新たな価値創造を図っています。加えて、柔軟な働き方につながるテレワーク勤務制度(在宅勤務やサテライトオフィス勤務)を導入、オフィスのフリーアドレス化やレイアウト見直しなども実施し、就業環境の整備を推進していきます。さらに、生産現場をサポートする間接部門の従業員に働きやすい環境を提供するために、これまで以上に働きやすい職場環境の実現をめざして、土浦工場(茨城県土浦市)、龍ケ崎工場(茨城県龍ケ崎市)、播州工場(兵庫県加古郡)において新棟が完成し、稼働を開始しています。
仕事と家庭の両立支援制度
日立建機では、仕事と家庭の両立支援のため、各種制度の拡充を図り、働きやすい労働環境の改善に取り組んでいます。出産や育児、介護・看護のための休暇制度や、利用しやすい勤務制度を導入することで、従業員のワーク・ライフ・マネジメントを支援しています。
出産・育児
- 出産休暇
出産される女性のための休暇(出産前8週間、出産後8週間) - 配偶者出産休暇
配偶者の出産のための休暇(通算5日) - 育児休職
子どもを養育するための休職制度(小学校1年修了時の3月31日迄の通算3年) - 育児勤務
子どもを養育している従業員のための短時間勤務制度(小学校を卒業する日までの必要な期間)
介護・看護
- 介護休職
要介護者の介護を行うための休職制度(通算1年以内) - 看護勤務
要介護者の介護を行うための短時間勤務制度(介護事由が消滅するまでの必要な期間) - 家族看護休暇
要看護者の看護を行うための休暇制度(通算5日)
その他の支援制度
- フレックスタイム制勤務
- テレワーク勤務(在宅勤務、サテライトオフィス勤務)
- 半日年休
- 配偶者海外転勤休暇
《 ナショナルスタッフ活躍支援 》 海外人財の活用を促進
日立建機グループでは、海外グループ会社の人財を各部門で受け入れています。これは、1996年から本格的に開始した取り組みで、現在までに約300名の人財を日本で受け入れてきました。多様な海外人財を積極的に受け入れ人財活用の場を広げていくことで、組織のパフォーマンス向上をめざしていきます。
《 マイノリティ活躍支援 》
障がい者雇用促進の取り組み
2024年6月1日現在の国内(日立建機単独)における障がい者雇用率は2.45%で、法定雇用率(2.5%)を下回っています。
法定雇用率達成のため、昨年度より、これまで障がい者が在籍していなかった部署での雇用を拡大するなど各種取り組みを実施しています。また、2026年7月の法定雇用率改定も視野に入れ、障がいの有無を問わずすべての人(Kenkijin)が自分らしく働けるフィールド作りを推進していきます。
高齢者雇用の対応
日立建機では、60歳の定年到達者が再雇用を希望した場合、希望者全員を再雇用しています。ライフプラン研修や定年前面談の実施により、これまで培ったキャリアを生かすことができる高齢者の活躍支援はもちろん、多様な人財が力を発揮できる職場環境づくりを推進しています。
LGBTQ対応
人権研修や管理職研修を通じて、従業員がLGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クエスチョニング)について正しく理解することにより、一人ひとりを尊重し、個々の人権を傷付けることのない、働きやすい職場環境に努めています。日立建機では、同性パートナーを有する従業員も尊重する考えの下で、一部制度の拡充も行っており、今後も日立建機が「誰もがイキイキと活躍できる会社」となるよう取り組んでまいります。
南アフリカにおける黒人経済力強化政策(B-BBEE)の取り組み
日立建機は南アフリカ共和国で事業を展開しており、同国の経済発展と雇用の創出に向けた B-BBEE*1政策に沿った活動を推進しています。日立建機南部アフリカは2024年4月末時点で、 B-BBEEの評価でレベル2を取得しています。
*1 B-BBEE:Broad-Based Black Economic Empowermentの略称。企業や諸団体のB-BBEEへの取り組みや貢献度についてスコア化し、最高のレベル1からレベル8および不順守に格付け