日立建機ティエラでバッテリー駆動式ミニショベルの試作機を開発
2019年12月9日
日立建機株式会社 (本社:東京都台東区、執行役社長:平野 耕太郎/以下、日立建機)は、今後、急速な市場の立ち上がりが予想される電動化建機の技術を確立するために、バッテリー駆動式ミニショベルの試作機(5 tクラス)を開発しました。
今回開発した試作機は、ミニショベル・ミニホイールローダなどの開発・製造・販売を行う100%子会社の日立建機ティエラ(取締役社長:中村 和則)が、European Application Center GmbH(以下、EAC社)と連携して開発したものです。EAC社は、日立建機と欧州地域における代理店Kiesel社のグループ会社KTEG社が、2018年に建設機械の電動化および応用開発製品の開発を行うために設立した合弁会社です。
日立建機は、電動化建機の開発・製造に、早い時期から取り組んできました。作業現場の環境改善を目的に中小型機をベースとした有線式の電動ショベルは、1990年代の発売以降、主に日本市場で累積100台以上の納入実績があります。また、お客さまのランニングコスト低減を目的としたマイニング分野でも世界各地の鉱山現場に多くの有線電動式の超大型油圧ショベルの納入実績があります。
近年、地球温暖化対策や低炭素社会の実現に向け、世界各国・地域で環境規制が強化されています。建設機械業界でも、自動車業界と同様に、稼働時に二酸化炭素などの排出ガスを出さない電動化建機に対する期待が高まっています。特に欧州市場を中心に過密な都市部の工事で使われるミニショベルでは、バッテリー駆動式の電動化建機への期待が高まっています。
日立建機は、2006年にバッテリー駆動式のZX50UB-2(5 tクラス)、ZX70B(7 tクラス)、2010年にはバッテリー駆動式のZX35B(3.5 tクラス)を開発し、市場に投入しましたが、当時はまだ現在ほどニーズは高くなく、規模も限定的でした。
欧州市場の電動化建機への期待の高まりを背景に、2019年4月には、ドイツ・ミュンヘンで開催された国際建設機械見本市「bauma 2019」で、EAC社が開発したバッテリー駆動式の試作機(2 tクラス、8 tクラス)を展示し、各国・地域の来場者から大いに注目が集まりました。
一方、バッテリー駆動式の電動化建機の実用化には、バッテリーの価格が高い、充電時間が長く稼働時間が短いなどの技術的な課題があります。とりわけミニショベルでは、バッテリーを建設機械に搭載することで、機械全体が大きくなる傾向にあり、狭小地でも高い作業効率性を発揮する、本来の小型機の特長を生かせません。また、バッテリーを小型化すると、作業に必要な稼働時間を確保できないという課題があります。
今回の試作機は、狭小地でも作業効率の良い後方超小旋回型ミニショベル(5 tクラス)をベースとした点と、バッテリー電源と商用電源を併用することができる点が大きな特長です。ミニショベルの特長を最大限に生かせるよう、バッテリー・システムの小型化と長時間稼働の実現を追求し、開発を通じて、従来のモデルと同等のサイズで収まる技術的なめどがつきました。
今後も、日立建機グループは、環境規制の厳しい欧州市場の最新の情報をグループ内で共有し、市場ニーズに合致した電動化建機の開発を日本と欧州が連携して進めていきます。
なお、本試作機は、今後、市場調査に活用する予定で、現時点では発売時期や価格は未定です。
日立建機グループはこれからも、お客さまの課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト低減」の解決と、環境負荷の低減を図る高付加価値の技術・製品開発に取り組んでいきます。
試作機の主な仕様
項目 | 試作機 | |
バケット容量 (m3) | 0.14 | |
輸送時寸法 | 全長 (mm) | 5,520 |
全幅 (mm) | 2,000 | |
全高 (mm) | 2,530 | |
後端旋回半径 (mm) | 1,000 | |
機械質量 (kg) | 4,910 | |
モーター出力 (kW) | 33 | |
バッテリー容量 (kWh) | 39 |
以上
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